あらすじ
今から約1200年前、時は、奈良時代。天平13年、聖武天皇が、全国に国分寺建立の詔勅を出されました。相模の国の国分寺は、海老名に建立されました。法隆寺形式で建てられ、全国でも二番目の規模といわれる壮大なものでありました。わけても天を突くような七重の塔は華麗を究めており塔の先端(水煙)には金がほどこされ、朝な夕な陽に煌めき、人々は讃嘆しておりました。
そのころ、国分寺の下を流れる相模川で、魚を取って暮らしていた若い漁師がいました。或る日、国分寺尼寺の尼と漁師が出会い、美しい二人は、たちまち、恋に堕ちてしまいます。
二人は夜ごと、ひっそりと会うようになります。ところが、漁師が日ごとにやつれて行くので、尼は「どうしたのですか。何か心配ごとでもあるのですか」とたずねました。「国分寺の七重の塔があまりにまぶしく輝くので、魚が遠くへ逃げてしまい、魚がとれないのです。この地をはなれなければなりません。」と尼に別れを告げました。
別れを告げられた尼は、「あの塔さえ無ければ。。」と思い、ある決心をします。そして・・・
出演者紹介
オペラ
創作に寄せる想い
子供の時に,日本人のオペラ『カルメン』を観た。日本人が、カルメンを演じるのを観て「変だ」と想い、違和感を覚えた。その時、「日本のオペラがあったら良いのに。」と思った。
時を経て、ある日、「日本のオペラを創ろう!」と、思ったところ、突然、天から降って来たようにストンと落ちて来たのが、『尼の泣き水』だった! 郷土の伝説をオペラにしよう! 日本女性の愛と献身を描こう!と考えた。
日本には、能という舞台形式が存在する。日本人は、想像力豊かな国民であるので、松1本で、場面が想像できる。ピアノの繊細さを活かし、如何なる場所でも、ピアノ1台あれば、上演できるようにした。「全国民に生で、オペラを観ていただきたい。」これが、私の願いである。
『尼の泣き水』は、日本語による、日本人の感性による、日本独自のオペラ。子供達が華を添えてくれる。ご期待くださいませ。